監督も役者も狂ってんなぁ(褒め言葉)
戦争映画大好き、レンシレンジです。
なんだかすごく久しぶりに映画館に映画を観に行った気がします。
やはり映画は平日の朝一番に限る。なぜってクソッタレな観客が少ないからです。
このあたりはブログを始めた初期頃の記事で書いているので、映画好きな人達にはぜひ読んでもらいたい。まあ、一番読んで自戒してほしいのは迷惑をかけている奴らなんですけどもね。
renshire.hatenablog.com
さて、今回は映画の感想記事。
無理にイラストを描くと時間がかかるので、廃止にした面倒くさがりがここに居ます。
1917 命をかけた伝令
個人的にこのポスタービジュアルは素晴らしいと思います。ほぼ数字なのに伝えたいことがはっきり分かるのはGOOD!
※この記事の後半にはネタバレが含まれていますので注意してください。
あらすじ
時は1917年。フランスへと攻め入るドイツ軍と対峙するイギリス軍、その兵士である二人の若者へと重要な任務がくだされた。
それは、敵の罠と知らずに総攻撃を仕掛けようとする1600名の軍に攻撃中止命令を伝えることだった。
敵地の中を進まなければならない二人の兵士の前には、果てしない距離と明朝までという制限時間。そしてドイツ兵が待ち構えているのであった。
あらすじ終わり
基本的にはプライベートライアン(唐突なネタバレ)
戦争映画にも色々ありますが、この作品の場合はタイトルにもある通り【伝令】のお話です。
つまり移動がメインであり、戦闘描写は二の次。そもそも明朝までという制限時間があるので、
戦ってる場合じゃねぇ!!
という状況なのです。
味方を救いに行くと言う意味ではプライベートライアンという作品に近いでしょう。
にしても伝令二人は戦力的に心もとなくないですか将軍さん。
1917年のフランス。
時期が時期だけに、分かる人なら簡単に察することのできる、
第一次世界大戦の欧州戦線
が舞台となっているこのお話。
日本だと第一次大戦はあまり馴染みのない戦争ですが、実は当時の日本も参加している戦争で、この時日本は戦勝国です。
ですがメインは欧州戦線なので、やはり日本では印象深くない戦争と言えるでしょう。
ちなみにバウムクーヘンとか器械体操が日本にやってきたのはこの辺りの時代。(豆知識)
一方の欧州ですが、下手をすれば第二次世界大戦よりも悲惨。欧米人にとってのトラウマと言っても過言ではない戦争です。
なので、欧米の方々と日本人ではこの作品から受け取れる印象はやや異なるかもしれません。
そして相変わらず悪役にされるドイツ軍。
戦争映画ではとりあえずドイツを悪役に据えとけばOKと言う風潮があったりなかったり。ぶっちゃけどの国もやることはやらかしてるので、個人的にはこの描写は好きじゃない。少なくともドイツ人は怒っても良い。
描写について
この映画、
全編ワンカット
が売りの映画です。
カットを割らず、同じカメラで同じ役者をずっと追いかけ続けてエンディングまで持っていきます。
冒頭の「狂ってんなぁ」というつぶやきはこの部分です。
だって二時間近くあるんですよこの映画! そのうちワンシーンでもミスがあれば最初から取り直しって、マジで狂気の沙汰でしょう!
と、けなしてるんだか褒めてるんだかわからない叫びを上げましたが、実のところ完全にワンカットというわけでもないらしい。
ワンカットに見えるように編集した映画
と表現するほうが正しいかもしれません。
実際、見て分かるカットシーンが1,2箇所ほど存在します。制限時間が明朝なので、時間経過のためには流石にこれは仕方がないでしょう。
※追記
なんとこの映画、最長のカットは8分と言うものらしいです!
なるほど、狂ってるのは編集担当者だったらしい
ともかく、シーンに長回しが含まれているのは間違いない。そしてそれは、
非常にうまく作用している
と断言いたしましょう。戦争映画との親和性は凄まじいです。
とにかくこの作品、没入感が凄い。
映画に入り込み、すぐ近くで兵士が駆け回っているような感覚に陥ってしまいます。
画面から目を話すことが出来ないため、2時間近くの映画にも関わらず体感時間はあっという間でした。
私はATMOSDOLBY版(AT版)と言う、音響が優れたバージョンで見たのですが、映画の没入感と相まってこれは素晴らしい!
これまで何作品科AT版で観たことのある私ですが、1917が最も親和性のある映画だと感じました。これから観る方は、少し割高になっても音響システムなどの追加料金を支払った上での鑑賞をおすすめします。
ネタバレ感想
ここから先はネタバレを含みます。未鑑賞の方はブラウザバック推奨。
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驚くべきほどの死亡フラグの塊!!
この物語、主人公が二人います。──いや、そう見せかけて実際はそのうちの一人が主人公なのですが、ともかく二人の若者が伝令に走るところから話が始まります。
しかし、映画に詳しい人。さらに言えば戦争映画をよく見る人にとっては、お約束がわかり易すぎて
「ああ、この人が死ぬんだなぁ」
ということが丸わかり。
というわけで今回死ぬのはスコフィールド上等兵
公式HPにまともなピン写真がなかったので画像なしですが、伝令兵の背の低い方。
この人、本当にこれでもかと死亡フラグを建てまくります。
兄が攻撃部隊に加わっている(存命)
故郷を懐かしみ昔話連発
そもそも味方が二人(どっちかが死ぬしか無いじゃない!!)
相方が故郷に帰りたがっていない(最後に帰郷で締めるフラグ。つまり生存フラグ。だからどっちかが死ぬしかry)
細かく言うともっとある気がしますが、細かすぎて伝わらない死亡フラグなので割愛。
そりゃ、戦争映画で主役が二人なら、どっちかが死ななければオチがつかないでしょうよ。その時点でお察し状態です。
二人一組だからこそ。そして相方が生存フラグを建てまくっているからこそ、スコフィールドの死亡は確定してしまったと言っても過言ではない。
しかしあの死に方は流石にビビったね!
流石にカメラ外での戦いであっけなくやられるとは……と言うかあのドイツ兵鬼畜やな! 助けられてそれかよ! だからドイツ兵は残酷だと言われるんだ!(掌返し)
そしてもう一方の相方。ブレイク上等兵。こっちが真の主人公。
別タイプのポスターでメイン張っているお方。
先程も言った通り、生存フラグの塊。自分のことを語らない為、語るまでは生き残るというパターン。逆に自分のことをペラペラ喋ってしまうと用済みと言わんばかりに消されます。
プライベートライアンのミラー大尉も、自分語りを突っ込んだ直後亡くなっていますからね。仕方がないね。
大隊に追いついたあとのラストアタックは必見!!
マジで映画史に残るんじゃないのかあのシーンは。
あと、感心したシーンはミルクの下りです。
水が尽きたので変わりに水筒にミルクを汲むと言うシーンがあるのですが、その後で出会う女性と赤ちゃんに物資を分ける際に、このシーンが凄く活きてきます。
大抵の映画だと、それぞれのシーンは独立していて特に面白みのない尺稼ぎになりがちです。現地女性とのシーンは、無駄なロマンスとして嫌う人もいるでしょう。(私)
ですが、偶然持っていたミルクを偶然であった赤ちゃんに分け与えるという印象深い構成となっており、現地女性との出会いも必要な描写として昇華されていました。
持ち物をすべて渡すため、ここから一気に身一つとなって大隊へ追いつこうとするのも良い決断だと思います。
完全装備だと、どれだけ疲労困憊していてもまだ余裕があるように見えてしまいますからね。
泥だらけ&びしょ濡れで身一つ。と言うのは、ビジュアル的にもいい感じでした。
最後に
題材が題材なだけに、人を選ぶ作品ではあります。
少なくとも友人恋人と一緒に見に行く類の作品ではないでしょう。
しかし、戦争映画好きならば必見レベル。映画好きならば一度は見てほしい映画です。
戦争に興味がなくとも、映像描写とシーン構成などが素晴らしいので、それだけを目的に観に行っても十分元が取れます。
すべてを観終わったあと、感動した! とか、人生観が変わった! とかではなく、
疲れた……
という感想が生まれることは間違いない!
なんでこれがアカデミー賞取れなかったんだ? まあアカデミー賞だからか(諦め)
ではまた!!