クーリスマスが今年もやってくる~♪
別に来なくてもいいのに……レンシレンジです。
なんで11月にクリスマスの話題かというと、何故か今の時期にクリスマス映画が新作として登場したからです。
ネットフリックス限定アニメーション映画、
クロース Klaus
あらすじ
郵便配達員であるジェスパーは、郵便局長である父を持つブルジョワ階級。
幼い頃から何不自由無い生活を送っていた彼だが、そのダメっぷりを見かねた父により辺境の地、雪積もる【スミレンズブルク】へと派遣される。
そこでは2つの一族が街ぐるみでいがみ合っており、手紙のやり取りすら行われていない状況。
6000通の手紙を配達しなければ勘当されてしまうという条件のもと、ジェスパーは一部の望みをかけて町外れの家へと向かう。
そこにはクロースと言う白ひげのおもちゃ職人が居たのだった。
あらすじ終わり
冒頭部分はギャングオブニューヨークのオマージュかな?
2つのグループの抗争というのは面白い。ただしこちらはギャングではないが、規模は街全体に及び規模はすごく大きいです。
このグループ間抗争は有史以来? の長きに渡っており、相手グループに対しては日常的に攻撃が加えられています。
例えば、
寝ている車椅子の老人を雪積もる坂道へ突き落としたり、
寝ている車椅子の老人を流氷に乗せて流したり、
寝ている車椅子の老人を屋根の上に置き去りにしたり。
寝ている車椅子の老人よく生きてんな!?
これをやってるのが子供っていうのが残酷さを増してる気がします。
治安の悪い街、手紙のやり取りが無い街、郵便局ぶっ壊れ状態。
当然ながらこんな場所で6000通などという目標が達成できるはずもありません。
しかしそれに失敗した場合勘当される身の上のジェスパーは、こんな悪環境でも必死にがんばります。ダメ人間ですが、別段仕事のできない人間でもないようです。ただし致命的にやる気はない模様。
ジェスパー・ヨハンセン
プロローグでぐーたらしている姿は典型的なボンボンのお坊ちゃんです。
この世界は郵便局が軍隊様式らしく、そのアカデミーで同級生が厳しい訓練に励む中、彼だけは優雅にカプチーノをすすっています。エスプレッソだったかな?
そのダメっぷりを見かねた父親が厳しい試練を課すと言うのはわかりやすい導入です。
しかし、父親の部下ですら「極端過ぎる」と表現する地へと飛ばされた彼は、嘆きつつも割とポジティブに
「元の生活に戻るために手紙を届けなければ!」
と仕事に励みます。やれば出来る子のようです。
ただ、スミレンズブルクは言ったとおり抗争の絶えない街。
相手への意思表示は大砲をぶっ放したり、汚物を洗濯物にぶっかけたり、ベランダから花瓶を頭目掛けて落としたりで表現します。
手紙を出すという習慣はなく、郵便局の前任者たちも諦めてしまうような場所です。
頑張ったジェスパーですが、数週間~数ヶ月?程で音を上げてしまいます。
むしろそれだけの期間諦めないのって凄いよねぇ?
諦めかけたその時、地図上で見逃していた町外れの家を発見します。
そこにはクロースという白ひげの老人がいました。ジェスパーの彼への第一印象は
「殺人鬼」
と言う散々なものでしたが、とあるきっかけで仕事を共にする仲間となります。
クロース
大柄で白ひげを蓄える老人。
山奥で鳥の巣を作り続ける世捨て人のような生活をしています。彼の家の中には、なぜか使われていない大量のおもちゃが置かれていました。
ジェスパーが偶然手に入れた子供の絵を拾ったことで、その子供へとおもちゃを送ることになります。
そのことが子供の間で広まり、ジェスパーのもとに大量の手紙が送られることになります。宛はクロース。内容は「おもちゃをください」と言うシンプルなものなのですが、これをきっかけにとある物語へと発展します。
ネタバレ感想
以下ネタバレ有り
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この物語はサンタクロースの物語です。
題名で分かるって? まあそりゃそうだ。
ですが、この物語の中に【サンタ・クロース】と言う名称は一回も使われません。
なぜならば、この世界にはサンタ・クロースは存在しないからです。すなわち、
サンタ・クロースの誕生物語
なのです。
皆さんはサンタ・クロースの事をどれほどご存知でしょうか?
日本だと【クリスマスに贈り物をくれる赤い服を着たおじいさん】という印象が強いでしょうか?
ただ、海外ではもっと特徴が多く、我々には馴染みの薄い物も多いです。例えば、
サンタは悪い子リストを持っている。
悪い子リストに載った子はおもちゃではなく石炭を送られてしまう。
サンタはクッキーとミルクが好きで、置いておくと食べて帰る。
お父さん、お母さんが「良い子にしてないとプレゼントをもらえないよ」と言うのは、
実際にサンタ・クロースにまつわる逸話だったということです。
そして、誕生物語であるこの映画では、それらの特徴が誕生する経緯を描いています。
その経緯がとてもコミカルで、すごく「なるほど!」と思わされる出来です。
大柄のクロースが、なぜか煙突を抜けて家の中へプレゼントを届けることが出来る。
→実際の配達は細身のジェスパーがやってるから。
トナカイが引くソリに乗って空を飛ぶ。
→ロバが引く馬車ではプレゼントの重量に耐えれないため、馬力のあるトナカイを採用
グループの長たちの嫌がらせで馬車が破損し、結果ソリのような形に。
長たちに追われて崖から飛んだところを子供に目撃される。
悪い子には石炭が送られる。
→ジェスパーに雪を投げたり罵声を浴びせていた悪ガキへの嫌がらせ。
悪い子リスト
→石炭を送った悪ガキへの説明。
とまあこんな感じです。コミカルに描かれつつも、説得力のある描写はすごく楽しかったです。
しかも、悪い子リストという噂が広まってからは、暴力的なスミレンズブルクの街は変わっていきます。
良い子じゃないとおもちゃが貰えない子どもたちは、その後善行を繰り返すようになります。怪我をした人を助けたり、街の清掃活動をしたりです。
大人を巻き込んだその活動はどんどん広まり、やがて大人たちの間でもいがみ合いが薄れていき、一部を除いて仲の良いご近所付き合いが始まります。
結果として、ジェスパーとクロースの活動は街の治安改善に一役買ったというわけです
キャラクター造形
もうね、めっちゃくちゃ好き!!
この映画、今は珍しい2D手書きアニメーションです。
制作は意外にもスペインらしいのですが、監督及びスタッフたちはディズニーで2Dアニメーション制作に従事していたらしく、「ディズニー映画だ!」と判断してしまうデザインとなっています。
さて、この映画のデザインは欧米でよくあるデフォルメの強い見た目をしています。
それ何等身?
とか、
足細すぎない?
とか。
しかし、そこは実力派揃いのスタッフ。完成したものを見てみれば、
可愛いし格好いいし美人!!
となっています。
ヒロインである学校の先生なんか、ハンサム学園並みに尖った顎の持ち主なのにめっちゃくちゃ美人に落とし込まれています。
子どもたちは極端なデザインなのに皆可愛いって言うね。
このあたりディズニーのアニメーター出身というのは納得です。表現力すげぇ!
ジェスパーも最初は憎たらしかったのに、なぜかどんどんハンサムに見えてきてしまうから面白い。
個人的に、3Dアニメーションに移行する前のディズニー映画が大好きなので、すごく俺得な作品に仕上がっていました。
物語のその後
この映画はいわゆるハッピーエンドでエンディングを迎えます。
ジェスパーは先生と結婚して子供を授かりますし、おもちゃを送るという活動は10年以上の長きに渡って続けられています。
しかし、この作品で異色なのは【その後】です。
普通の作品ならばここで「めでたしめでたし」と終わるところなのですが、この作品は違う。
具体的な経過年数を明言しており、それに伴って元から老人であったクロースはどんどん歳を取っていきます。
そして来たるべき時。
クロースは今は亡き妻に呼ばれるようにその姿を消してしまいます。
亡くなったと言う明言はありません。あくまで行方不明扱いです。
ジェスパーは彼を探し続けますが、どうしても見つけることは叶いませんでした。
何が起きたのかわからないジェスパーでしたが、一つだけ分かることがあります。
それは、
年に一度だけ、友達に会えること
だったのです。
無粋ながら言ってしまうと、
クロースは死んでしまったが、その後サンタ・クロースとなって活動を続けている
らしい。
総評
ビビるほど泣けるわ!!
中盤の街が変わっていく様子でウルっと来て、
クロースの身の上話で泣き、
エンディングへ入ったところで涙腺が崩壊した。
私は映画ではあんまり泣くタイプでは無いのですが、こういったド直球なストーリーに弱いのです。
同じクリスマス映画に挙げられる【クリスマスキャロル】
これが好きな人ならば絶対に好きな映画でしょう。あれも凄く泣けるからおすすめ。
子供から大人まで楽しめる傑作映画!!
正直今まで紹介してきた映画の中でも1,2を争う出来栄えでした。
ではまた!!