魂を込めた妥協と諦めの結石が出る
分かり味が深すぎる、レンシレンジです。
よくわからないセリフから入る漫画紹介の第八回。
随分と久しぶりなこのカテゴリー。ようやく重い腰を上げて紹介するのはこちら。
映像研には手を出すな!
画像は現在(2020/2/10)放送中のアニメーションのキービジュアルです。
今記事ではアニメ版も絡めて話していきたいと思います。
あらすじ
自らが空想した世界をスケッチブックに描き起こす、浅草みどり
金儲けが大好きな、金森さやか
カリスマ読モだがアニメーター志望の、水崎ツバメ
ひょんなことから水崎と遭遇した浅草と金森は、その出会いをきっかけにアニメ制作を行うことを決意する。
一から部活を作ることとなり、紆余曲折を経て『映像研』が誕生する。
バラックの部室を拠点に、三人はアニメで『最強の世界』を作るため奮闘するのだ。
あらすじ終わり
表紙やビジュアルを見ると、SFチックな作品かと思われるかも知れない本作。
確かに独特な世界観ではあるものの、この作品は基本的に現実世界で行われるアニメ制作の【日常アニメ】なのです。
アニメ制作と言うと、最近では【SHIROBAKO】が有名でしょう。こちらも映画化されるほどの人気作品ですが、映像研と同ジャンルと聞かれれば微妙な所です。
なので、SHIROBAKOが好きだからと言って映像研を好きになれるかは分かりません。
まず第一に、映像研は世界観と絵柄が割と人を選ぶ作品です。
SHIROBAKOはいわゆる『美少女アニメ』に分類されます。
現実の世界で行われている制作現場で可愛い女の子が奮闘するアニメです。
もちろん、内容が濃いのであまりこの分類に分けてほしくない人もいるでしょうが、
少なくともビジュアルを見る限りは美少女が強調されている作風です。
では映像研の方はどうか? とりあえず漫画の第一巻の表紙を紹介します。
映像研には手を出すな! 第一巻
既刊5巻。
さあ、人によって価値観はそれぞれですが、一見して『美少女が売りの漫画』とは評されないでしょう。
表紙はかなりきれいにまとまった絵柄ですし、そもそも美少女設定である水崎などは可愛いですが、読み進めるとこの漫画が『美少女なんぞ売りにしてない』ということが分かるでしょう。
おすすめの読者層
美少女を売りにしていない漫画、と言うのはここ最近ではなかなか珍しい。
アニメにしても売れにくいジャンルなので、よく映像化してくれたと称賛を贈りたい。
この作者、絵はとても上手ですが、最初に言った通り癖のある絵をお描きになります。
なので、「俺は美少女漫画が読みたいんだ!」と言うこだわりのある人は回れ右が吉です。
さて、ではどのような層にこの漫画をおすすめするべきかという話ですが、それは
設定大好き人間
でしょう。いわゆる設定厨と呼ばれる人種です。
そもそも主人公の一人である浅草がこの人種で、スケブには『私の考えた最強の世界』
がぎっしりと描き込まれています。
キャラクターのビジュアルよりも、そのキャラの性格や人生を考える。
ロボを作るときは武器やら入り口やらコックピットやらの細部に拘りを入れる。
世界観に説得力を加えるためにあらゆる知識を詰め込んでみる。
簡潔にまとめるなら、アニメやゲームの設定資料集を買うタイプの人ですね。
アニメ制作に関するお話なのですが、とにかく設定がこれでもかと詰め込まれています。部活という枠組みで、妥協と試行錯誤を繰り返しながら制作に勤しんでいきます。
なので、その過程を楽しめる人でないと、この漫画は微妙に感じるかもしれません。
話の性質上、劇的な大立ち回りは無いので、話題性だけを考えて全巻揃えると、後悔する人は間違いなく出てくるはず。
購入の際は試し読みをしてからをおすすめします。
https://bigcomicbros.net/comic/eizoken/
↑第三話までの試し読みリンク。
ビジュアル
設定設定と連呼していますが、この漫画の凄いところはそのビジュアルの緻密さ。
頭の中で考えた世界をいかにアニメに落とし込めるかというのが題材なので、作者にはそれ相応の描写能力が求められます。
表紙を見れば分かる人は分かるのですが、この漫画
【背景美術が素晴らしい】作品です。
定規や各種道具でかっちり描かれるタイプの絵ではありませんが、
とにかくごちゃごちゃと情報量が詰め込まれた
作者の考える最強の世界がここにあります。
これはあくまで想像ですが、作者自身が投影されたのが【浅草みどり】というキャラクターなのだと思います。
※wikiを見たら完全に作者の実体験からくるキャラクターのようでした。
アニメ
私が考える今期最強のアニメーション
人を選ぶと散々言っている私ですが、アニメに関して言うと
「万人におすすめしたいアニメーション」
であると断言します。
癖のある絵柄が特徴の原作とは違い、安定した作画による小綺麗なビジュアルは、原作の絵が苦手という人でも見易い物となっています。
アニメ制作を題材にしたアニメということもあり、その作画は非常に安定したもの。
そりゃあ作画云々と言っている内容で作画崩壊を起こしていたら目も当てられませんしね。このあたりはとても安心して見れる要素でもあります。と言うか、
安定どころかめっちゃヌルヌル動く。
漫画だと数コマだったアニメーション描写も、実際のアニメになると数分の劇場クオリティ。
現実ならほぼ間違いなく三人の高校生で制作不可能なレベルのそれは、アクションアニメとしても十分見ごたえのあるものとなっています。
とにかくこのアニメ、クリエイターにとっては頷きの嵐。
制作に際しての苦労や楽しみが詰め込まれているので、イラストレーターとしても活動している私が見ると、創作意欲が掻き立てられて仕方がない。
録画したものをイラストを描きながらループ再生して一日を過ごしています。
学生の頃にこのアニメを見ていたならば、今頃大物クリエイターになっていた可能性も無くはないでしょう。
どのような分野でも、クリエイターを目指す学生さんならこのアニメはマジでおすすめです。
ちなみに金森と言うキャラクターが行う行動は、マーケティングやプロデュースと言う観点から見ると非常に有能なので、そちらの勉強にもなりますよ。
最後に
なんかまとまりのない文章になってしまった。なので、最後にこの記事の要約を書いておきたい。
①漫画原作は人を選ぶ。設定厨には非常におすすめ!
②ビジュアルが最高! ごちゃごちゃした世界観が魅力!
③アニメは万人向け! クリエイター志望は絶対に観ろ!
ではまた!!