男らしい幼女になりたい!!
嘘です。 男らしい男になりたいレンシレンジです。
意味不明な叫びで始まった第六回漫画紹介。
そのうちメインコンテンツの映画より数が多くなるんじゃないかなぁ。
まあイラストは実写を描くより漫画キャラを描くほうが楽だからね! 仕方がないね!
カルロ・ゼン先生原作のコミック版。
この作品は小説原作のほか、コミック版とアニメ版が存在します。
私はコミック版とアニメ版しか見ていませんが、それぞれ作風がガラリと違う変わった作品です。どちらか一方しか見ていないと、作風に関して勘違いしてしまうほど全然違います。
ちなみに私のオススメは今回紹介するコミック版です。
正直ここ最近読んだ漫画の中でも、上位に位置するほどの面白さを誇ります。
あらすじ
現代日本において、徹底した合理主義でエリートサラリーマンとして活躍する主人公
彼は合理的な考えから社員を切る事にいささかの葛藤も持っていなかった
しかしある時、首にした男に逆恨みで殺害されてしまう
彼は死に、気がつくと神と名乗る男が目の前にいた
現実主義者である主人公は神を【存在X】と呼称する
主人公曰く
科学文明に恵まれた世に生まれ
世界でも稀に見る道徳心を備えた国で育ち
生物学的にも社会的にも優位な『サラリーマン』
であるため、神にすがる理由がないとのこと
そんな主人公を嘆く神は、彼に信仰心を芽生えさせるため、新たな生を主人公に与えた
非科学的な世界で
女に生まれ
戦争を知れ
主人公を追い詰めるために
あらすじ終わり
ジャンルはいわゆる『異世界転生』
ネット小説では非常にポピュラーな物で、現在かなりの飽和状態となっているジャンルです。私が書いてる小説もここに含まれます。
しかし、その中でもこの作品はかなりの完成度を誇っていると考えています。
……まあ正直、名前でかなり損をしている作品だとも思いますが。
だって幼女ですよ幼女!!
外でこんな言葉を叫べば即お巡りさんがすっ飛んで来るような単語ですよ!!
書店で予約注文をしただけで勇者扱いされるレベルのタイトルですよ!
そのタイトルを見て敬遠している食わず嫌いも多いでしょう。
内容を知らない店員さんからの冷たい視線を浴びるのを恐れて、書籍を買えない人もいるでしょう。
もったいない!!
こんなにおもしろい作品を読んでいないなんて、なんてもったいないんでしょう。
恥ずかしさなど気にせず、これは買うべき商品です!!
まあ私は電子書籍派なんで恥ずかしくもなんとも無いだけなんですが
ジャンル
この作品は、原作・アニメ版と比較するとコミック版は作風が全く違います。
基本的なジャンルは【戦記】もの。
つまり異世界での戦争を題材にした作品です。
異世界なので、魔法を使用した航空戦力の観点からのお話。航空戦が好きな人でも、飛行機が好き! と言うならば微妙にジャンル違いになるのでご注意を。
で、原作・アニメ版とコミック版の作風の違いですが……
原作・アニメ版=戦記・シリアス
コミック版=戦記・ギャグコメディ
なぜ同じ話でこうも違ってしまったのか……
いや、基本的な話はどのバージョンでも同じなんです。ですが、それをシリアスに描いているか、コメディチックに描いているかの違いなのです。
共通して言えるのが、主人公デグレチャフとその他のキャラとの【認識の差】というものが挙げられます。秀逸な例えが漫画の中で描かれていたのでご紹介。
デグ「同じ言葉を話しているつもりでも、全く違う結論に至って不思議に思うことはありませんか」
つまり
デグ「A+B=AB」
その他「A+B=C」
このような現象が作品内で起こり続けます。
と表現する人がいますが、ものすごく的確な表現です。
特にコメディを含むコミック版ではこれが顕著で、噛み合わないデグレチャフと上官や部下とのやり取りはめちゃくちゃ面白い。
しかもその結果が複雑かつ物語的にとても重要で、
デグ「Aと考えます(だから止めろ!)」
上官「なるほどAだな(つまりやれという事か!ドン引き)」
主人公デグレチャフの思惑と真反対へと事態が展開し、そしてそれは結果として最善手として物語の進行を手伝うのです。
上層部のドン引き
戦争狂な部下の増産
国家としての最善手
みたいな具合に、ハチャメチャな様相を呈していきます。
もうこれ狙ってやってるだろ主人公。
とまあ、コメディチックなコミック版ですが、問題なのが前記したように
原作・アニメ版との作風の違いです。
つまり、どの媒体から幼女戦記を知ったかにより、読者の捕らえ方がだいぶ違う作品になります。
個人的にコミック版を推す私ですが、最初にコミックから入った場合、
アニメ版への拒否感が強くなるように思えます。
と言うのも、まず第一にキャラクターデザイン
コミック版では美男美女が絢爛豪華な軍服に身を包んで居るのに比べ、
アニメ版は……言ってはなんですが割と不細工。服装は実用一辺倒のダサい服です。
巷で有名なのが副官の【セレブリャコーフ】というキャラクター。
コミック版(及び原作)では美少女ですが、
アニメ版ではなぜかムーミン(?)になっています。
のっぺりとした顔つきは、もちろんシーンにもよりますが美少女とは言い難いでしょう。
このような形で、キャラデザがかなり尾を引っ張っているように思えます。
第二に、これも前記ですがシリアスとコメディの違い。
全く同じシーンなのに、アニメ版はシリアスで笑いがなく、コミック版から入った人は違和感が凄まじい。そもそもアニメ版は全体的に暗い雰囲気なので、ギャグを組み込んでも笑えないので妥当といえば妥当です。
つまり、コミックのアニメ版を見たいと考えているのならば見ないほうがマシ。
コミックから入った場合は、アニメ版は別物として考えるべきでしょう。
東條チカ
原作者カルロ・ゼンとタッグを組んでいるのが、漫画家東條チカ先生。
幼女戦記のほかだと、【コードギアス双貌のオズ】を連載していた漫画家先生です。
とにかく、この方の特徴として挙げられるのが
速筆
原作ありのコミカライズだとしても、漫画を描くスピードは普通変わりません。
しかし先生の場合、この速度が尋常でなく速い。
コンプエースという月刊誌に連載しているのですが、描く速度が早すぎて月に二話を投稿するのも珍しくなくさらには
連載に単行本化が追いつかない状況(三冊分)
という、ちょっと何言ってるのか分からない事態に陥ったことすらあります。
ちなみにこのような事態に陥る前に三ヶ月連続単行本刊行
という偉業を達成しているのですが、それでも追いつかないという速筆っぷり。
月刊誌連載のはずなのになぁ??
そのむやみな進軍はとどまることを知らず、誌の三分の一を占める漫画を書き
事もあります。
やりすぎですよぉチカ先生!!
と、凄まじい経歴を持つこの先生。
と思うのは私だけだろうか。
しかも速筆とはいえ、その作画は手抜きが一切ない上質なものです。
複雑な軍服もきちんと描いているし、その戦闘シーンは大迫力で大満足。
色々なタッチの絵柄を描き分けて、プロパガンダ風のキャラの動物化は非常に完成度の高いものです。ホント凄まじいぞこの漫画家……
さて、一見メリットしか無いように思えるこの速筆ですが、個人的に一つだけデメリットを感じています。それは、
単行本化が早すぎて他人に薦めづらい!
なにせ月刊誌掲載のはずなのに一ヶ月に一冊出すことも多々で、三ヶ月に一回は大抵単行本を出してる作品。
つまり、薦めた日にすぐに買ってもらわないと二冊三冊増刊している可能性があるわけです。
現状(19/9/1)で既刊15冊ですが、すぐに次が出るでしょう。なので
興味持ったらすぐ買え!!
明日と言わず今日買え!!
今日と言わず今買え!!!
と声を大きくして言わせていただきます。
最後に
薦めづらいと書きましたが、その理由を差し引いても、
私がオススメする漫画のトップランクに食い込む作品。
現在15冊単行本が出ていますが、非常にスラスラ読めるのであっという間に追いつくことが可能な作品です。
「早く次が読みたいなぁ……って次巻の発売日来月かよ!?」
という通常ではありえない刊行ペースも楽しみの一つで、飽きずに続きが読み薦められるというのがこの漫画の長所であります。
むしろ作者先生の体調が心配になるペースなので、
もっと休んでほしいと願うばかりです。
ではまた!