レンシレンジ教室

ネット小説書き・イラスト描き・映画感想なんかやってます。その時々で愚痴もこぼします。

JOKER 狂気の帝王の誕生譚 とりあえずゴッサムは一度滅んだほうが良い 後半ネタバレ感想

 

 

人には薦めたくない映画筆頭!!

 

久しぶりの映画感想、レンシレンジです。

映画感想記事だというのに、人に薦めたくないとはこれいかに。

 

だってこれひたすら陰鬱でバットエンドな物語だもの!!

そもそもこの映画を観て「面白かった!」と言えるなら、とりあえずその人を誰か抱きしめてあげてほしいよ!!

 

そんな感じの導入で、ひとまず映画のあらすじです。

 

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ジョーカー

 

 

あらすじ

 

主人公アーサーは、時折笑いだしてしまう発作を持つ自称コメディアン。

母も寝たきりの状態で、一人看病と仕事を繰り返す日々。

ピエロとして色々な場に派遣されるアーサーは、街の不良に絡まれて暴行を受ける。

看板を奪われ、仕事を放棄したと判断された彼は上司から叱責すら受ける始末。

加え、彼は人とは笑いの感覚がズレているという致命的な欠点も持っていた。

そんなコメディアンとしても不向きな性格のアーサーは、とあるミスで仕事をクビになり、自暴自棄になっていたところ、今度は電車内で酔っ払い達に絡まれてしまう。

持っていた拳銃で射殺したその酔っぱらい達は、街の大企業ウェイン産業のエリート社員。

上流階級が殺害されたことは大々的に報道され、

一方で上流階級への不満を持つ下流市民たちの不満が爆発。

街に不満と暴力とピエロが蔓延し始めるのであった。

 

                                         あらすじ終わり

 

 

最初に言っておくと、この作品はヒーロー映画のスピンオフ映画ですが、

 

ヒーローは一切出てきません

 

なので、悪が討たれて正義が勝つというハッピーエンドで終わりません。

100%純度のバットエンドです。

ではどのような映画なのか。それは、

 

とある男が狂気に堕ちるまでの様を描いた映画

 

本当にこれだけ。

サイドストーリーは無くはないのですが、描いているのはアーサーがジョーカーへと変わる話だけなのです。

 

注目したいのが、

 

【誰でもジョーカーになり得る】という話。

 

確かに、ジョーカーの笑いだしてしまう発作は特別かもしれません。

しかし、それ以外を見てみると驚くべきほど平凡な男です。

彼に降りかかる不幸の数々も、一つ一つ見てみれば現実にも起こっているものでした。

それらの要素が積み重なり、一人の男に集中した結果ジョーカーが生まれるのですが、

不幸というのは一つだけでも人間を狂わせるのには十分

なのだと思います。

実際自分がこの境遇に陥ったなら、途中で発狂することは間違いない。

 

むしろアーサーってめっちゃ辛抱強いな!?

 

と思って観てましたよ。

予告編で

「ネガティブになってない?」

「ネガティブに決まってるだろ」

なんて台詞がありましたが、

見方を変えればアーサーはめちゃくちゃポジティブな人間だと感じることもできます。

これについてはネタバレの部分で話しますが、

ジョーカーの狂気を的確に表している部分であると私は思いました。

 

 

 

ジョーカーって何?

 

ジョーカーというキャラクターは、

バットマンというDCコミックスに出てくるヴィラン(悪役)で、

スーパーヒーローバットマンの長年の宿敵でもある大物です。

ピエロの化粧を施した外見と、常に笑いながら犯罪を犯す狂気の精神が特徴です。

 

ジョーカーってそもそもなんぞや? と思ったDC初心者のあなた。朗報です。

この映画、

 

ジョーカーが誰なのか知らなくても楽しめる

 

作品なのです。

最初に言ったとおり、ヒーローが出てきません。

基本的にはジョーカーというキャラクターの誕生秘話なので、初心者に非常に優しい映画だと言えるでしょう。

実際、この映画の8割型は誕生についてのストーリーです。

誕生後の話は非常にわずか。

逆に、ジョーカーが大暴れするのを期待する人は、肩透かしを食らってしまうかも知れません。アクションも凄くしょぼいです。

 

しかし、そもそもジョーカーは武力のキャラではありません。

特殊能力も持っておらず、戦えば一般の警察官にだって負けます。

それだからこそ、このキャラクターの性格が際立つというものなのです。

 

彼の狂気が伝染し、一般人がジョーカーに成ってしまう。

そういった【厄介さ】が彼の本質だと言えるでしょう。

 

ただ、前記したようにこの映画はジョーカーの誕生までのお話。

ジョーカーとしての本質を描いて入るものの、ヴィランとして活動しているわけではないので、既存のDCファン。ジョーカーファンは

 

ヒーロー映画の延長線として考えてはいけない

 

ことをわかった上で鑑賞していただきたいと思います。

 

 

ネタバレ感想

 

以下ネタバレ

 

        ・

        ・

        ・

 

 

…………しんどい

 

正直なところ、これに尽きる物語でした。

なぜならば、最初に書いたとおり「誰でもジョーカーになれる」

というお話だからです。

起きる悲劇は現実にも起こっていることで、特に社会人となって働いている方々ならば、一度は感じたことのある無力感が非常に強い。

真面目に働いて、家族の面倒を見て、成功を夢見たとしても叶うとは限らない。

成功した人々は自分たちを顧みないし、むしろ邪魔者扱いしてくる始末。

 

【社会の縮図】

 

これが今作のジョーカーのキャラクターだと感じました。

 

物語の舞台であるゴッサムにおいて、

主人公ジョーカーは低所得層に分類されます。というか、彼を含む大半のゴッサム市民は低所得層です。

しかし一方で、大富豪も結構いるゴッサムは極めて所得格差が大きい街でもあります。

そんな格差が大きい市民たちが、ほとんど同じ地域に済んでいるのだから、より一層お互いの醜い部分が見えてくるのでしょう。

 

高所得層から見ると、低所得層は汚らしく意地汚い連中。

 

低所得層から見ると、高所得層は傲慢で自分たちを搾取する連中。

 

今作においては、低所得層からの視点であるため、負の部分が強調されています。

一方の視点であって、偏見も多分に含むのは間違いないのですが、

 

ジョーカーの被害はこの視点が現実のものとして起きてしまいました。

 

街の予算で行われていたセラピーと投薬は打ち切られ、

高所得層からの暴力は表沙汰にならず、

高所得層が死んだ事件だけが大々的に報じられて低所得層がバカにされる。

 

そりゃ鬱憤も貯まるでしょうし、最終的にピエロ軍団による暴発もさもありなんです。

というか、

 

ゴッサムは一度更地にしたほうが良いよね!!

 

正直なところ、この街に夢や希望はありませんよ。

真面目に頑張っても、それが報われることが非常に少ない街に魅力なんてありません。

金持ちがより金持ちになり、貧乏はより貧乏になる。

現実にもある問題ですが、流石に私はこんな街に住みたくはない。

 

 

アーサーの笑い方

 

特殊な笑い方をするアーサーですが、それはあくまで持病が故の笑いです。

心の底から笑った描写は、今作においては極めて少なかったように思います。

【笑ってはいるが、笑顔ではない】とでも言うのでしょうか。

ピエロのメイクで大笑いしていても、よく見ると真顔でこちらを見ている感じ。

 

最終的にアーサーはジョーカーとなり、自分の人生は悲劇ではなく喜劇だと結論づけました。

よく「悲劇と喜劇は表裏一体」と表現されます。

悲惨な目にあって、悲劇にしか感じられない人生でも、他人から見ると喜劇に見えてしまう。作中でチャップリンの映像がありましたが、ああいった喜劇においても、実際に自分の身に起きると悲惨でしかありません。

逆に、他人から悲劇とみなされる人でも、本人からすると喜劇だと感じている。なんてこともあります。ジョーカーの場合はこちらですね。

 

そのきっかけになった出来事が、作中の中盤で発生する

 

【ピエロによるエリート社員三人の射殺事件】

 

でした。

まあ……アレだ。

 

スッキリしちゃったんでしょうねぇ

 

今までは被害を受けて泣き寝入りが当たり前だったアーサーが、

反撃してねじ伏せたことで自分の中のタガが外れます。

無論、彼にも倫理観というものはあり、終盤を除けば常識的な行動を取るのが大半です。

しかし、実際に事を起こしてみてみると、案外大したことはない。

むしろ鬱憤を貯めていたのが馬鹿らしいほどにスッキリしてしまったのです。

 

それでもそのまま犯罪者としての人生を歩むわけではないのだから、

やはりアーサーは辛抱強いキャラクターだと思います。

実際にジョーカーへと変貌を遂げるのは、母親が自分を虐待していたことが発覚して、今までの人生の無意味さを痛感したからですしね。

 

 

トーマス・ウェイン

 

今作におけるヴィラン……ではないんですが、アーサー視点だとひたすらに嫌なヤツ。

まあ彼からするとアーサーは、

息子に近づき、自分にもわけのわからないことをのたまう異常者。

彼の義母も自分を貶めようとした異常者。

としか見えないので、あの態度も仕方ないのかも知れません。

ただ、観客という神の視点でアーサーの事情を知っている我々からすると、

 

「もうちょっと誠実に話し聞いてあげようよ」

 

と思わなくもない。

彼は射殺された三人の社員を全面的に擁護し、犯人を罵倒しています。

これもアーサー視点だと、

暴力を振るわれた際の正当防衛です。ピエロがどうのと罵倒される理由はありません。

(もちろん過剰防衛でしたが)

 

バットマンシリーズを見ていると、市長としての活動は英雄視されています。

しかし一方で、低所得層の気持ちを全く理解できていない金持ち。

そういった一面が強く表現されていました。

 

金持ちは何をやっても言っても許されるが、貧乏人は笑った程度で暴力を振るわれ、犯罪者扱い。

 

ああなるほど。そりゃゴッサム市民もピエロ軍団になって暴れるわ。

 

さて、DC好きの方々からすると、トーマス・ウェインというキャラクターは有名です。

なぜならば、彼はバットマンであるブルース・ウェインの父親だからです。

今作では、ブルースのルーツである両親の殺害事件が、間接的にジョーカーによって引き起こされたものとされていました。

 

こういった繋げ方は非常に好みです。

 

いろいろな伏線が繋がったような快感を覚えます。

ただ、この時系列だと、

 

バットマンと対峙したとき、ジョーカーおじいちゃんなんじゃない?

 

と思ってしまいます。作中のアーサーって何歳なんでしょうね?

中の人ホアキン・フェニックスよりも若い設定だとしても、すでに初老にしか見えない……

 

 

アメリカでのジョーカーの影響力

 

これはバットマンシリーズの二作目、ダークナイトにおけるジョーカーの話なのですが、このカリスマ的な演技によって感化された人物が、映画館で銃乱射事件を起こしたという話があります。

多くの方が犠牲になり、現実にさえ影響力を及ぼすキャラクターとして有名になりました。

その関係で、アメリカの一部映画館ではジョーカーの上映について賛否あり、中には上映自粛の劇場も出てきているそうです。

ゴッサムのような地域が現実として存在するアメリカでは、こういった内容に感化されてしまう人も実際に存在するということみたいです。銃社会で、大量殺人が簡単にできてしまう国ならではですね。

 

実際のところ、一番最初に言ったとおりこの作品は他人には薦めたくありません。

アメリカ人ほどでなくとも、日本人でも思うところがある内容ですし、

もしかすると精神的に参ってしまう人もいるかも知れないからです。

日本ではR15+のレーティングですが、個人的には高校生にはあまり観てほしくない作品なので、R18でも良かったのではと思っています。

この映画を観る際には、それほどの覚悟を持って鑑賞することを強くおすすめします。

 

 

映画としてのJOKER

 

さて、最後になりましたがこの作品の素直な感想。

 

映画としては傑作

しかし面白いかと聞かれると面白くはない作品

 

こう言ってしまうと語弊があるし、面白かったと思う人には怒られるかもしれません。

なので前提として言っておくと、

 

凄い好みな作品で、自分も傑作だと感じています

 

しかし一方で、結末が分かりきっており、どんでん返しがあるわけでもなく、救いがあるわけでもない。

カメラワークや役者さんの演技などは素晴らしいが、物語に強弱が少なくてやや退屈。

 

こういった理由で【面白くはない】という表現を使いました。

 

デートで気軽に見に行けるタイプの映画ではないし、ファミリー映画でもない。

観た後にスッキリする映画ではないし、興奮する物語でもない。

 

他人に薦められないと私が言うのは、

 

1に【精神的に辛いから】

2に【人を選ぶ物語だから】

 

なのです。

とはいえ、傑作映画であることは間違いありません。薦めはしませんけどね。

ということでこの映画は、

 

精神的余裕があるときに観に行きましょう!!

 

 

 

ではまた!!